民事信託 ~受益者とは~
認知症・相続対策や、障がいを持つ子の親なきあとの問題で利用される民事信託では、「委託者」・「受託者」・「受益者」の三者が登場人物となります。
本コラムでは、受益者について解説いたします。
受益者とは
この法律において「受益者」とは、受益権を有する者をいいます。(信託法2条6項)
受益者とは信託財産から発生した利益を受ける権利を持っている人のことで、原則として、委託者によって信託契約の中で指定されます。
受益者の資格
受益者となる資格は、信託法上特別な定めはなく、信託契約で定められた「自然人」または「法人」と解されています。
以下ような者も、受益者となることができます。
- 委託者自身
- 委託者以外の個人
- 株式会社・民法法人・団体・組合などの法人
- 権利能力がない社団
胎児や未存在の者(将来生まれる子どもなど)を受益者に指定することも可能です。また、受益者を複数名指定することも可能です。
受益者が亡くなった場合
受益者が亡くなると、受益者が持っていた受益権は相続されることになります。
しかしながら、相続人になる人次第で、委託者が信託契約において託した思いを実行できなくなってしまう可能性があります。そのような場合、委託者は、信託契約時に、受益者が亡くなった場合の次の受益者を予め指定しておくことができます。
なお、注意点として、受益権の承継回数に制限はありませんが、信託がされたときから30年経過後に新たに受益権を取得した受益者が死亡した時に信託期間が終了となってしまうので、30年を経過した後の受益権の新たな承継は一度しか認められていない点が挙げられます。(信託法91条)
受益者に関する注意点
受託者と受益者が同一である場合、信託は1年で終了すると定められています。(信託法163条2号)
信託財産について管理する受託者と利益を受ける受益者が同一であるということは、信託財産を委託者が受益者に贈与したことと実質的に同義になり、信託を利用する意味がなくなってしまうためです。
受益者を複数名設定するなどして、受託者と受益者が完全に同一とならないよう、信託設定時に注意が必要となります。
弁護士
小西 憲太郎
- 所属
-
大阪弁護士会所属
刑事弁護委員会
一般社団法人財産管理アシストセンター 代表理事